超世界転生エグゾドライブ深海考察

カクヨム産小説「超世界転生エグゾドライブ」について思いつく限りいろいろ書いていくやつ。

IP(イニシアチブポイント)について

先の記事でなぜエグゾドライブが競技化されたか、を語ったが、じゃあ実際にどのようなルールとするか問題になりますね。

目的を考えると滅亡の解決RTAでもいいだろうけどそれだけでは娯楽として競技として物足りない。

そこで出てくるのがこれ、IP、イニシアチブポイント。滅亡解決をゴールとして、IPの大小で勝敗を分けるというルールになっているわけですね。

このIPというもの、基本的には滅亡解決時に多く得られる一方、それ以外の手段も豊富なので単純な速さ比べではなく、より多くIPを稼ぎ、あるいは相手のIP獲得手段を削る戦略がここに成立すると。さらにIPは多いほど転生者は成長しやすくなるため、IPを稼ぐ行動は速度面でも重要であり、そこのバランスが競技性をさらに複雑にしています。

 

では実際IPとはどういうときに獲得するか。

それは「優位であることを異世界に認識させること」。もっと端的にいってしまうと「現地住人に活躍を見せつけること」です。

例えば悪漢をぶっ飛ばした時。悪漢や周囲の住民から見たら転生者はより強い存在であり、周囲の住民から見たら精神面からも優良な人である印象を持つことになる。

例えば王族に認められ重用されている時。王族からすれば重用するだけの優位性を認めており、周囲からも相応の認識で見られることになる。

こういった現地住人に認められる行動をとった場合にIPは得られます。

これは結果的に異世界を良い方向に向けるため滅亡解決の方向性とも合致し、競技化に当たって非常に有用なルールといえるでしょう。

 

 

さて一方でメタ視点で見た時。

このIPによる勝敗の決定は非常に重要な意味を持ちます。

題材的異世界転生の「あるある」を作品内競技での「定石」に変換する役割です。

主人公が劣悪な環境で働かされる奴隷を見捨てられず救い出してしまう。

主人公が悪漢に絡まれついついぶっ飛ばしてしまう。

主人公が各地を旅したりしてトラブルに巻き込まれていきつつそれを解決する。

そのほかそのほか、まあ見おぼえもありバリエーション豊かな異世界転生のあるあるイベント、本来はその作品ごとのキャラクター性に基づいた理由とかがあったりするわけですが、1試合で2転生が行われるエグゾドライブではほぼIP由来の理屈につながります。

劣悪な環境で働かされる奴隷を救うのは、その奴隷とその主人に対して劣悪な環境や奴隷として苦しむものを見捨てられない慈悲とそれを解決する手腕を見せつけるため。

悪漢に絡まれついついぶっ飛ばしてしまう、などは単純な力量の見せつけですがこれを有効に行うため悪漢の多そうなところにわざわざ行く(ガラの悪そうな冒険者ギルドなどですね)といったことは基本中の基本。

各地を旅してトラブルに巻き込まれて解決すれば、上記のような活躍を各地のあまり自分を知らない人に見せつけられます。単純に数もそうですが、やはりスゲーと思ってる人がスゲーことするのと、何も知らない人がスゲーことするのではギャップがありますからね。

ヒロインもとい現地住民の美少女などもIPの源泉ですね。やはり美少女相手だと嫉妬にしろ同情にしろ周囲の目が違うので。そもそも美少女を連れ歩くなども優位性でしょうか。

 

 

まとめるとIPとは題材的異世界転生の「あるある」を作品内競技で必要な行動に変換しつつ競技性を維持する設定の根幹となる存在なわけですね。

ざっくり「エンターテイメントな活躍すると得られるポイント」だと思っていただいてもいいと思いますけどね。

エグゾドライブは設定の端々が説得力と整合性と柔軟性を兼ね備えてるから怖い。